悪徳業者の押し貸し|勝手に振り込みや入金をされた貸付金について
押し貸し業者の対応について
不思議に思い聞いてみると、口座に振り込みをされていました。全く使っていませんが、利息が付いているという事を言われています。頼んでもいないのにこういった事をされた時、借金は返済する必要があるのでしょうか?
ヤミ金、マチ金が使う手口の一つとして、この押し貸しというものがあります。勝手に口座に振り込むという行為で、後で利息等を返済させます。
だからといって使っていいという事ではありませんので、詳しく説明したいと思います。
勝手に入金されたお金について
過剰貸付、不正貸付は『賃金業法12条の6及び13条』で違反行為として認定されています。ですので、この押し貸しという行為をされた場合、アナタには借金を負ったという責任はありません。
借金というのは、金銭消費貸借契約という契約のもと成立しています。つまり、お金を貸す側、借りる側での契約が必要であり、お互いの意思の同意がいります。当事者の合意なき貸し借りは無効なのです。
悪徳業者、サラ金、マチ金と呼ばれる業者が押し貸しをするのは昔からのようで、これで使ってしまったり利息を払ってしまう方が未だにいるのも現状の様です。
業者が一方的にお金を押し付けるこの行為は契約は成立していません。ですので、借金したことにはなりません。
押し貸しをされた場合の対処法
そして、今回のケースのように押し貸しをされた場合、金銭消費貸借契約自体は成立していない事になります。ですので業者に利息を払う必要すらありません。
もちろんですが、そのお金自体を使ってしまってはいけません。
知らない間にお金が振り込まれた場合、預金がアナタ自身が増えた事になります。利益を得たことになるのです。一方ヤミ金の方は振り込みした金額分の損失を得たことになります。
こういった利益というのは不当利得と言われていて、いくら勝手に押し貸しをされたとしても、法律上では利得者は損失者に利益を変換する必要があるのです。
勝手に業者に返済しないこと
こういった法律がある以上、あなたが勝手に押し貸しの金を使った場合、法律上ではあなたにも責任が生じてしまうので、弁護士に相談するのがベストです。また、入金された借金もそのまま手を付けずにしてください。
しっかりしている人の場合、その業者に返済をする方がいます。しかし、これは危険です。絶対に個人的に返済をしないで下さい。返す場合は、業者側から入金が誤りだったと組戻しをさせる事が重要です。
組戻しという行為は、相手先、振込金額を間違って振り込んだ場合、その銀行振込を取り消す手続きの事です。振り込み人が振込手続きをした銀行を通して依頼して、間違って入金した口座がある銀行が入金を取り消してくれます。これを必ずする事です。
そうしないと、もし押し貸しされた側から入金があった場合、業者はその振り込み自体を一部入金(一部返済)と考え、更に利息分についての請求をしてくる可能性があるからです。
不当な事をしているにも関わらず、返金されたことを利用して、被害者の方から借金の申し出があったという事を主張する事もあります。ですので、押し貸しをされたことに気付いた時は、警察、消費者センター、また、本当に借金の整理をするのであれば弁護士に相談する事です。
押し貸しの利息分まで払ってしまった場合
いきなりこういった事を言われた場合、動揺してお金で解決したいと思う方もいるかもしれません。実際に返還した方もいます。利息分も請求され、言われるままに支払った方です。
いくら返済義務がないと言っても、しつこく返済を迫ってくるのが悪徳業者やマチ金の手口です。本来押し貸し自体が違法ですので、この行為をするという事自体悪質な業者には間違いないので通常の常識が通用しません。
そして、このように押し貸しの利息分まで支払った場合、払う必要が無かったお金とは言え、取り戻すことは非常に難しいといえます。
殆どの場合、この口座自体が架空口座だったり、住所やお店自体も架空だからです。
一人で利息を払うとか、元金を払うとかを電話をされて屈してはダメです。もし押し貸しがされた場合、弁護士等に相談して下さい。払ってしまってからでは遅いのです。
押し貸しのお金を使ってしまった場合
法律どおりで言えば、勝手に振り込まれたお金ですので支払う必要がありません。不当利得は返済するというのは間違いありませんが、それはあくまでも原則で『その利益の存する限度で』と書いています。
つまり、残っている範囲で返せばいいという事です。
入金されたことを知らない状態でしたので、これは善意の利得者という認定をされます。
ですので、例えば10万円押し貸しをされたとして、6万円を遊び等に使った場合であれば、残りの4万円を返済すればいいという事です。
この考えを現存利益(残っている範囲の利益)といいますが、遊びに使った場合と、借金の返済や生活費に使った場合では現存利益の考えが変わります。上記の例で言えば6万円を生活費や別の借金に当てた場合は、この10万円自体が現存利益として残っていると考えられます。
また、『入金が押し貸しと分かって使ってしまった場合』であれば少し違った考えも出てきますので注意が必要です。この場合、善意の利得者ではなく、知ってて使ったという事で悪意の利得者と考えます。
悪意の利得者と考えた場合、被害者は(ここでは押し貸しされた人の事)受け取った不当利得と利息(この利息は業者が提示する利息ではなく民事法定利息として年5%)を業者に支払わないといけません。
とはいえ、コレはあくまでも善意の利得者という見方ですし、そもそも押し貸しという行為自体が不法であり違法です。そういった考えをもってすれば、不法原因給付という観点から、押し貸ししたヤミ金などは被害者(押し貸しされた側)に対してお金の返還請求は出来ないといえるでしょう。
善意の利得者なのか、悪意の利得者なのか、これは自己申告の要素が強いですので、目には目を歯には歯をの精神で押し貸しされたお金とは知らなかったと相談した際には言えば良いだけです(笑)
いずれにしても、押し貸しをする業者に対しては、個人的に連絡を取ったりすることは危険な行為ですので、しっかりと専門のプロに頼んで早期解決を心がけてください。